上司の暴言や同僚の言動が、不愉快。あるいは、辛い。

よく見ると奇妙な和製英語ですが、「パワー・ハラスメント」という言葉も、今や知らない人はいませんね。学校において長らく「いじめ」と呼ばれてきたものと同じことが、会社などにおいては主として上の立場の人による「パワー」を背景に、正当な業務上の指導や叱責などの衣を着せて行われてきました。今でも、なかなかなくならない問題です。

もちろん、「いじめ」は必ずしも「パワー」を背景にしなくてもできることですから、同じ立場の者の間でも、あるいは下から上の人に対しても、多くはとても見えにくいかたちで行われています。

その意味で、私たちは「ワーク・ハラスメント」という言葉をなるべく使いたいと思います。

いずれにしても、この問題の難しいところは、たとえば裁判を起こして慰謝料を請求したところで、必ずしもこの問題が根本的に解決するとは限らないことです。加害者の目的は、被害者をいじめることを楽しむことか、その人をその場から排除することですから、加害者がいなくなるか、心から悔い改めるかしない限りは、この問題の本当の解決にはなりません。会社が毅然とこの問題に対応し、加害者を異動させたり、場合によっては解雇するなどしてくれればいいのですが、なかなかそうもいかないのが多くの現実でしょう。

法律や裁判の力だけでは、本当の解決が難しいこともありますが、それでも、ひとつの重要な選択肢ではあります。ぜひ、ご相談ください。

なお、大阪には、「職場のモラル・ハラスメントをなくす会」というグループがあり、電話やメールでの相談などの活動を行っています。このグループの主要なメンバーは、かつて職場で壮絶なハラスメント被害に遭い、それをみごと乗り越えた当事者の方々、そして弁護士や研究者なども加わって、地道ではありますが、しっかりと地に足を付けた活動をしています。相談をすることは、それ自体が必ずしも解決に直結するものではありませんが、何よりも今の辛い気持ちを和らげ、新たな視点を提示し、あなたの置かれた状況や心身の状態に応じた解決の糸口を見つける機会にはなることでしょう。