家庭裁判所の調停を活用しましょう

離婚の方法については、一般的に、協議離婚が最も円満な望ましいやり方と考えられています。

たしかに、夫婦がともに離婚したいと思っていて、すぐにでも離婚届に判をついて出しましょうという状況で、わざわざ家庭裁判所で調停をすることもないと思われるでしょう。でも気をつけていただきたいです。

未成年の子どもがなく、かつお金のやりとりもない(済んだ)場合は別として、通常は、離婚には慰謝料や財産分与、養育費についての約束ごとが伴います。このようなお金は、あたりまえですが確実に支払ってもらえるようにしておきたいものです。そのために、「離婚協議書」という書面を作ることがありますが、その書面だけでは、強制的に支払わせること(強制執行)はできません。相手が約束通り支払ってくれればいいのですが、支払ってくれない場合、裁判を起こして、それに勝たなければ、強制執行はできません。

家庭裁判所で調停が成立したときにも、相手が払ってくれない場合にすぐに強制執行ができます。ですから、「離婚協議書」が作れるくらいに話し合いがまとまったときであっても、それを持って調停をすることをお勧めしています。このような場合には、裁判所に行くのも1回だけ、30分ほどで済むでしょう。手数料も全部で数千円です。

他方、DVやモラル・ハラスメントの加害者と離婚をするためには、ほとんどの場合、調停を利用せざるを得ません。その後、裁判に進むことも覚悟しなければなりません。

どちらにしても、早めに家庭裁判所へ調停を申し立てましょう。