日本の法律には、長期間の別居により「自動的に」離婚できるという規定はありません。長期間にわたり別居を続けることが、法律上の離婚の原因になりうることはそのとおりですが、それはあくまでも、裁判で、「婚姻を継続しがたい重大な事由」という、法律で決められている離婚原因のひとつにあたると判断されるからです。通常は長期間別居していれば、その夫婦の関係は完全に壊れていて、やり直すことはもう無理だろうと考えられます。そのことが、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当すると考えられるのです。
でも、長期間とは何年か、ということがはっきりと決まっているわけではありません。30年も連れ添った夫婦にとっては5年程度の別居でもまだ短いと考えられる場合もあるしょうし、結婚して3年しか経たない夫婦がすでに2年も別居していれば、それは相当に長いといえ、その夫婦の関係は壊れていると考えざるを得ないでしょう。
また、別居とはいっても、お互いの行き来などの状況によっては、単なる単身赴任や、“冷却期間”のようにも見えてしまう別居もあります。これでは、夫婦関係が壊れているという評価には必ずしもつながりませんから、そのような“別居”を何年続けても、それだけでは「婚姻を継続しがたい重大な事由」とはされにくいでしょう。
よく「別居期間を稼ぐ」ということが言われますが、その「稼ぎ」方には、注意が必要です。