年老いた親と同居して最期まで面倒みた長男。きょうだいでたった1人大学に行かせてもらった弟。それでも、遺産の分配はほかのきょうだいと平等なの?

親と同居して面倒を見た子も、ろくに顔を見せに来ることもなかった子も、遺言がない限り遺産の分配は全く同じというのは、平等ではないと感じられることでしょう。
でも、現在の裁判所においては、単に同居して面倒を見ていたというだけでは、その人の相続分を増やす理由にはならないと考えられています。なんだかおかしいと感じられる方も多いのではないでしょうか。私もそう思います。

また、親が生きている間に、特定の子にのみ高額の学費を負担したり、住宅の購入費を援助するなど、特定の子に特別に多くの金銭的利益を与えることがあります。それが、全ての子に何らかのかたちで平等にされていればいいのですが、そこに明らかな不平等があると感じられる場合に、親の死亡の時点で残っていた遺産のみを均等に分ける、というのも納得しがたいものがありますね。

この場合には、その特別な金銭的利益も遺産に含めて、みんなが平等になるように分配することが原則です。しかし、いろいろな事情を考慮した結果、その特別な金銭的利益は遺産の分配の際に考慮しない、という処理がされる場合もあります。当事者それぞれに相応の言い分があり、それが鋭く対立し、感情的な対立が深刻になってしまうことの多い問題です。

とにもかくにも、相続が「争続」にならないよう、話し合いにしても、調停にしても、正しいサポートを受けて、冷静に臨んでいただきたいと思います。