家、車、預貯金……、正当な取り分は取りたい

婚姻中(同居中)に買った家や車、貯めたお金などは全て、夫婦2人が何らかのかたちで協力して得られた財産ですから、原則として、その名義にかかわらず夫婦2人の共有財産と考えられます。これを、離婚に伴い公平に精算し、分け合うのが財産分与の基本的な考え方です。よほど特別な事情のない限り、半分ずつ分けるのが普通です。

話し合いで解決できない場合、調停や裁判をせざるを得ません。そこでは、夫婦がそれぞれ管理する預貯金などの財産を一切合切オープンにしたうえで、財産分与の対象になる共有財産とそうでないものとにより分けます。これが完全にオープンになればいいのですが、相手が隠し持っている財産があると思われる場合に、これを全て明らかにさせるのは困難なことが多いのが現実です。どこまでがんばるか、個別の事情に応じてよく考えていかなければなりません。

また、住宅ローンなどのマイナスの財産をどう処理するかということも困難な問題です。これも、個別の事情に応じてケースバイケースの解決がされています。

なお、財産分与はこのような精算だけでなく、慰謝料を補う意味の「慰謝料的要素」だとか、妻がずっと専業主婦だった場合などに離婚後の当面の扶養的な意味の「扶養的要素」もあると説明されることがあります。たしかに裁判例をみれば、それらの要素を考慮したとみられる例もありますが、これまたケースバイケースの個別の判断ですので、一般化することは難しいように思います。