「300日規定」という問題が、折に触れマスメディアで取り上げられます。離婚成立の日から300日以内に生まれた子どもは、前の夫の子と「推定」されるという民法の規定があります。そのため、実際には新たなパートナーの子なのに、たまたま離婚紛争が長引いたために、離婚が成立してからそれほど間をおかず(300日以内)に出産した、いう場合に起きる問題です。
この場合、言うならば戸籍には自動的に前夫の子として載ってしまい、そのままでは、真実の父親が認知をすることもできません。この状態を解消するためには、前夫との間で調停や裁判をしなければなりません。事情によっては、自分たちから裁判や調停を起こすことが法律上できず、前夫に裁判(調停)を起こしてもらう以外に、どうしようもないこともあります。
すると、前夫がDV加害者の場合、そのような連絡を取ること自体が大きな負担であったり危険であったりするうえ、弁護士を通じるなどして連絡をしたところで、そのような手続に協力してくれることも、通常のようには期待できません(通常は、自分のあずかり知らぬところで生まれた子が自分の子として戸籍に載っているのは気持ちが悪いので、手続に協力することが多いと思われますが、DVやモラル・ハラスメントの加害者は、嫌がらせや報復、腹いせのために、そうしてくれない可能性も考えなければなりません)。
このような、前夫との新たなごたごたや危険を避けたいがために、出生届を出さずにいると、「無戸籍」という問題が起きます。今の日本で、「無戸籍」で生きていくということは、あまりにも多くの負担や困難を伴います。
ともあれ、ご自分のケースが、もうどうしようもない問題なのか、何とかなる問題なのか、それは弁護士でなければ正確に判断することはできません。まずは、ご相談ください。